<お役立ちメニュー>やっぱり賃貸探しで役立つのがインターネットブログ:08月06日
もう、ずいぶん遠い昔の話…
上の娘が小学校に入学して間もなく、
「どんな人になりたいか?」という宿題を持って帰った。
「どんな人かなぁ〜」と考えあぐねた末、
僕に助けを求めて来た。
「人の心の痛みのわかる人間になって欲しい」と言ったところ、
すかさず下の娘が、
「こころって何、どこが痛いの?」と聞いてくる。
すると
「こころってな、胸、ここ、ここで…」と
七才の姉は三才のいもうとの小さな手を取り、教えていた。
僕はなんと説明していいか、戸惑ってしまった。
あれから二十数年、
二人の娘はそれぞれの道を歩んで成長した。
下の娘は、文学に興味を示した。
小さい頃からよく本を読んだ。
感動した本に出会うと、瞳を輝かせたりウルウルさせたりで、
心の起伏を素直に表わした。
そのうち、楽しいにつけ悲しいにつけ文を書く事を覚えた。
それは家族一人一人に宛てた誕生日のメッセージであったり、
先生や友人、離れて住む祖父母のもとにもよく手紙を書いた。
下の娘は六年生になったばかりの春、
2年間闘病を続けた祖父の死に直面した。
親父の最後の病室からでて来た手紙の束…
あの剛健で頑固な親父からは想像もつかない様な、
涙の後が点々と残された手紙…
そこには
「病気に負けないで」とか
「頑張って」といった文字は無い。
「今日の給食はひじきごはんだったよ」とか
「もうすぐ修学旅行に長崎に行くよ」とか、
たわいのない日常が綴られていた。
娘は手紙という一つの手段で、
死を直近に控えて眠れぬ24時を過ごしたであろう祖父を、
励まし力づけ心の支えになっていた事を初めて知った。
娘の書いた手紙にほんの一時でも、
痛みを忘れた24時があったかと思うと
僕は心が救われる思いがした。